今日のカープ本:虫明亜呂無『シャガールの馬』
学生時代に読んだ大好きだった虫明亜呂無のスポーツ小説集。キンドル化されたので40年ぶりくらいに再読。
西鉄からカープに移ってきた投手がクビになるところから始まる小説、「黄色いシャツを着た男」が収録されている。
実在の選手をモデルにしたフィクションだということだが、パッとは思いつかない。今度、探してみよう。
この『シャガールの馬』には、「黄色いシャツを着た男」など8篇のスポーツをテーマにした小説が収められているが、どの作品も、どこか艶っぽい文章で、スポーツの苦さみたいなものを描いていて、日本のスポーツ小説の中では珍しく読ませる。
その虫明亜呂無がプロ野球選手の中でもカープの投手を主人公に選んだ理由が分かるような気がする。スポーツにつきものの栄光と挫折。そのコントラストが激しく、ドラマティックである広島カープ。選手たちに対しても、どこかドラマを求めてしまう。
久しぶりに読んだけど、若い頃に読んだときよりも、敗れ去っていく主人公たちへ共感できるようになった気がする。いい小説だった。